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幼き過ち
今でも思い出す。
あの日の5年3組は催眠術がかかったふりをしたアイドルのように狂気染みた演技をしていた。


僕の小学校は5年生になると1泊の林間学校という大イベントが待ち構えていた。
はやくから各クラスごとにキャンプで何を作るか、散策ルートの設定、お菓子の上限額などを決めていた。
そしてなんといってもメインの、各クラスごとに行う出し物。
これを何にするかを決める事が林間学校のすべてを決めるということに等しかった。
3組はあまりパッとしないクラスだった。リーダーがいるわけでもなく、かといって特別いじめに遭うやつがいるわけでもなく、とても特徴のないクラスだった。
なのでみんなからパッとする意見が出るはずもなかった。


ずるずると出し物を何にするかを決めかねているとパッとしない担任が国語の授業をいきなり学級会議にしていい加減に決めるわよと意気込みながら強引に話を進めだした。

「あと10日後にもう林間学校です。あまり練習する時間もないんです。なにかこれだという意見はありませんか?」

先生はいつも生徒に頼る癖があった。そんなに時間がないのなら自分で強引に決めればいいのにとクラスのほとんどが思っていたに違いない。

「みんなで合唱はどうですか?」

一応の学級委員長が見事な落としどころを見つけみんなが納得の提案をした。

「え〜?それ普通すぎてつまんないし、だいたい10日間でできるの〜?」

地元の小さい会社の社長の娘が空気の読めない発言をした。

「それもそうね。他になにかありませんか?」

この担任はなぜ教師になれたのだろう。もしくはPTAの会長の娘の発言は尊重しないといけないなどと勘違いしているのだろうか。あるいは気に入られようとしているのか。

そのころテレビでは毎週勝ち抜き式の大道芸のチャンピオンを決める番組が流行っていた。
その番組で6週連続で勝ち抜いているコンビがやっている大道芸はパントマイムだった。

「パントマイムなんかどうですか?」

普段は目立たないコンビ二の息子は意を決したような表情で発言した。
クラスはその意見に全く異論の無い空気になった。
さすがに担任もそれを感じたのか、

「先生もパントマイム考えてたの。どうかしら、パントマイムでいいわね?」

この担任は典型的な女子大生だったのだろう。なんでも自分が優先なのだ。

この決定が、林間学校のすべてを決めた。


                                                続く


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